「あの人にイライラしてしまう」「言いたいことを我慢して、後で疲れる」「気を遣いすぎて自分がすり減る」——人間関係の悩みは、尽きませんね。ですが、ヨガには2000年以上前から、人との関わり方そのものを扱ってきた教えがあります。
私自身も悩みもあるし疲れることもある。ですが、ヨガの教えを知り、実践する中で悩む頻度は減り、多くをこのヨガの教えに助けてもらいました。そんな教えを少しづつ、シェアしていけたらなと思っています。
古典ヨガの経典『ヨーガ・スートラ』に説かれる「八支則(はっしそく)」の教えは、実はポーズよりも先に、他者とどう関わるかという部分から始まります。
今回はその入り口であるヤマの教えの一つ「アヒムサ」を軸に、人間関係を軽くするヨガの考え方を紹介します。
ポーズより先にある大切な「人との関わり方」八支則のヤマ・ニヤマ
ヤマ(してはいけないこと=禁戒)
アヒムサ(非暴力)
サティヤ(正直・誠実)
アステーヤ/アスティヤ(不盗)
ブラフマチャリヤ(禁欲・節度)
アパリグラハ(不貪・非執着)
ニヤマ(するとよいこと=勧戒)
シャウチャ(清浄)
サントーシャ(知足・満足)
タパス(鍛錬・継続する努力)
スヴァディアーヤ/スワディヤーヤ(学び・自己探求)
イシュワラ・プラニダーナ(委ねる心・信愛)
「ヤマ」「ニヤマ」は、丸ごと他者との関わり方、自分の在り方についての教えです。ヨガは本来、マットの上より先に、人間関係の土台を扱う実践なのです。
ヤマの代表的な教え『アヒムサ』関係を壊さない、自分もすり減らさない
ヤマの中で最初に置かれているのが「アヒムサ」です。一般的には「非暴力」と訳されますが、これは殴る蹴る暴力をしない、それは言葉も入ります。肉体的にも精神的にも。その他にも人間関係においては、次の2つの視点で見ることができます。
1. 相手に対して 言葉で相手を追い詰めたり、傷つけたりしない。正論でも相手を傷つけるなら黙っておく。正しさよりも、傷つけないということを優先する場面があってもいい、という考え方です。
2. 自分自身に対して 我慢しすぎない、自分を後回しにしすぎない。「相手のために」と思って無理を重ねることも、実はアヒムサに反する行為だとされています。自分を傷つけることも暴力の一種、というのがこの教えの重要な点です。
自分にも他人にも、言葉・行動・心の中でも傷つけることをしない優しさの態度。これが、アヒムサの実践です
「距離を取ること」もアヒムサ
誤解されやすいのですが、アヒムサは「常に我慢して優しくする」ことではありません。自分がすり減るとわかっている関係から距離を置くことも、自分へのアヒムサとして十分に成立します。
- 消耗するとわかっている相手との時間を減らす
- 言い返さない代わりに、その場を離れる
- 「合わせること」と「自分を守ること」のバランスを取る
非暴力とは、無抵抗や自己犠牲のことではなく、誰にとっても一番傷が少ない選択をする姿勢だと捉えると、日常で扱いやすくなります。
仏教との共通点
アヒムサの考え方は、仏教の「不殺生戒(ふせっしょうかい)」とも重なります。これは五戒の筆頭に置かれる戒律で、生き物の命を奪わないことを説いています。
また、仏教が説く「怒りは自分を焼く炎である」という考え方と、ヨガのアヒムサが目指す「関係の中で自分も相手も傷つけない」という方向性には、共通する部分があります。
アヒムサの教えから、これからの日常の人間関係で実践できること
日常の中で1歩立ち止まり、自分自身を知ること。呼吸して見つめる時間を作る。そして、思い、言葉、行動がアヒムサであるか分析してみる。
- 「正しいかどうか」より「相手を傷つけていないか」
- 疲れる相手とは、罪悪感なく距離を調整していいと自分に許可してみる
- 誰かにイライラした日の夜、「今日はどこで、自分を守れたか」を振り返ってみる
完璧に実践する必要はありません。日々の中で少しずつ意識するだけで、人間関係の消耗は変わっていきます。
まとめ
人間関係の悩みは、「どう関わるか」というコミュニケーションの問題でもあります。アヒムサは、相手にも自分にも暴力を向けないという、シンプルな教え。
自分にも他人にも、言葉・行動・心の中でも傷つけることをしない優しさの態度。
だけど、日常の中での人と関わる際に、知らず知らずの間に人を傷つける言葉や行動・もしくはそれを自分自身に対してもやってしまい、それが人との関係に不調和をもたらしてしまっていることもよくあることです。
それは、言葉や行動だけでなく想いも含まれるとされています。
一歩立ち止まり、冷静に呼吸をして、今の自分自身を見つめ直してみるのも良いかもしれません。
”アヒムサ(非暴力)を徹底して生きる人のそばでは、
暴力的な出来事や攻撃性が自然と静まり、
周囲も争いをやめていく。”
そんなマインドも、呼吸から。落ち着いたマインドは呼吸から始まります。簡単な1分間呼吸法。
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